人型ロボットを
開発した理由

 それでは人型である意味とは何なのだろうか。

「人がロボットを操るのであれば、やはり人間の体と一対一に対応している方が操作しやすいということは容易に想像がつきます。今回のロボットは頭部にカメラが付いていて、映像をVRゴーグルに映して操作しますので、視点も自分の頭の位置とロボットの頭の位置が同じ方が分かりやすいですよね」

人型ロボット,汎用人型重機,空間重作業人機,多機能鉄道重機,日本信号,人機一体人型ロボットはVRゴーグルに映して操作する 写真提供:JR西日本

 人が操作する人型ロボット。その根幹にある人機一体独自の技術が、人とロボットが力を双方向に伝えあう「パワー増幅バイラテラル制御」であり、同社の社名でもあり理念でもあるのが「人機一体(マン・マシン・シナジーエフェクタズ)」だ。

「操縦かんを前に回して、右手に力を入れると、操作する人からロボットまで力が伝わります。一方、ロボットが何かに触れれば、逆に人に力を伝えます。双方向に力が伝わると、人とロボットの体が物理的につながっているような感覚になり、ロボットの手が自分の手に思えてきます」

 空間重作業人機のロボット部分は幅1.2メートル。重機としては比較的小型で、人間に近いと言える。人が操作するロボットのサイズは、やはり人に近い方がいいのだろうか。

「鉄道の現場は入り組んでいますので、体が大きいといろいろな所に引っかかって作業ができません。サイズが大きければ大きな力が出て、リーチも大きくなるという利点はありますが、もっと力が必要であれば大きくてもいいかもしれないし、細かいところに入って作業するのであれば、もっと小さい方がいい場合もあります」