二足歩行ロボットを
開発する可能性はあるか

 もうひとつ、人型ロボットといえば論点となるのが「二足歩行」である。線路上の高所作業に用いられる空間重作業人機は、クレーン車の先端に人型ロボットが設置されているが、いずれは二足歩行のロボットが開発される可能性もあるのか、一笑に付されるのではないかと思いながらも聞いてみた。

「道路を通って線路に入って工事現場にアクセスするのであれば当然、道路と線路を効率よく走れる機構が望ましいですが、車輪ではアクセスできないところに行こうと思ったら、やはり足は必要になります。足に特別こだわっているわけではなく、車輪で行ける所は車で行けばいいし、足の方が良ければ足にすればいいという、それだけの話です。その足が多脚ではなく2脚である理由も内的要因になります」

「外的要因だけ考えれば4脚や6脚のほうが安定していますが、内的要因で考えれば人間の足は2本しかありません。ホンダのASIMOやボストンダイナミクスのロボットは、コンピュータが考えて自律二足歩行していますが、我々はバイラテラル制御を用いてロボットをコントロールすることを想定していますので、基本的には足も人が操ります」

「そうであれば当然ロボットの足が2本でないとコントロールできないわけです。単純に足を動かして歩くだけだったら、自動制御でもいいと思うのですが、足には歩くだけではなく、何かを蹴ったり、操ったり、探ったりする役割もあります」

 自律二足歩行は高度な技術を要する割に、プログラムされていない不測の事態への対応は苦手である。一方、バイラテラル制御を用いれば、人間が自ら立つのと同じようにバランスを取ることができるので二足歩行は容易だという(試作機で実証済みだ)。