大舞台で周囲がどんなに盛り上がっていても、自分がコントロールできることのみに集中するのが松井氏。ワールドシリーズだから特別に松井氏のレベルが上がっているわけではなく、あくまで普段通りのプレーをしているだけ。周囲が緊張感から普段のプレーができない中、松井氏はレベルが下がらないため、活躍が目立つのかもしれない。

松井秀喜氏や中村憲剛氏に学ぶ、「他者を意識せずに勝つ」コントロール思考法

「指導者の決断について、選手はコントロールできない部分が大きいですよね。そこに向かって不満を言っていても変化はない。ですので、その決断を踏まえた上で、何ができるかに集中することが良いでしょう。

 次に期待する決断を下してもらうために、練習の質を上げ、武器を磨くこともいいでしょうし、決断の理由について、指導者とコミュニケーションを取ることもできますよね。環境や人のせいにするのではなく、自分にできることは何かに意識を向ける思考が結果としてストレスを緩和し、飛躍を生みます」

高校入学時は154cm
ベクトルを自分に向けた中村憲剛氏

 また体格差など、本人の努力ではなかなか補い切れない“どうしようもないこと”に対し、どのように受け止めると良いのだろう。伴氏は「これも指導者の決断と同じだ」と、元サッカー日本代表・中村憲剛氏のエピソードを教えてくれた。

 先日、対談で一緒になったという中村氏は、小学校卒業時に身長が136cmほど、高校入学時も154cmと非常に小柄な体型だったそうだ。川崎フロンターレに入団したものの、最初はテスト生。自分のポジションが約束されたものではない。しかしながら、2020年シーズンで引退する頃には、川崎フロンターレの黄金期を支え、日本代表でもインパクトがあるプレーを数多く残した名選手だ。