100点満点中70点以上が合格で、信号無視と逆走があった場合は40点減点で不合格となる。免許更新期限の6カ月前から何度でも受検できるが、期限までに合格できなければ免許は失効する。ただし、希望すれば原付バイクの免許は維持できる。

 全国紙社会部デスクによると、実車試験の受検対象は、免許更新となる75歳以上の約7%に相当する年間約15万人に上るとみられ、2割以上が不合格となる可能性があるという。

 警察庁によると、昨年は75歳以上の運転者による車両やバイクの死亡事故が346件発生。全体(2289件)の15.1%を占め、統計がある1986年以降で最も高い割合になった。免許を所持する人口10万人あたりでは5.7件で、75歳未満の2倍を超えた。

 事故の態様は電柱や標識などへの衝突が89件、出合い頭が54件、正面衝突が45件、人の横断中が37件など。車両に限定すると、33.1%がハンドルの操作ミスやブレーキとアクセルの踏み間違いだった。

 昨年11月17日には大阪府大阪狭山市のスーパーで、当時89歳の男性が運転するトヨタプリウスが暴走し、3人をはねて入り口に衝突。はねられた男性(当時87歳)が死亡、運転していた男性の妻(同90)と買い物客の女性(同77)が重傷を負う事故があった。

 運転していた男性は買い物をしていた妻を迎えに来ていたが、サイドブレーキを掛けずスーパー近くに停車していた。「止まっていたのに動き出し、慌ててブレーキとアクセルを踏み間違えた」と説明しているという。

 事故は、買い物客もまばらな同日正午過ぎに発生。プリウスは自動販売機をなぎ倒しながら前方にいた2人をはねて停止した後、タイヤの摩擦音を響かせながらバックしてさらに1人を巻き込んだ。乗用車は急発進と後退を繰り返し、スーパー入り口に突っ込んだが、運転していた男性はパニックだったと推測される。

 死亡した男性は数年前に「事故を起こすわけにいかない」と運転免許を自主返納していた。まさか、自分が高齢者の運転するクルマにはねられて命を落とすとは、想像していなかったに違いない。