総予測2022#損害保険Photo:Yuichi Yamazaki/gettyimages

コロナ禍の影響をほとんど受けず、業績好調な損害保険業界。ここ数年の大規模災害で赤字が続いている火災保険も、保険料の値上げによって収支改善への道筋をつけた。だが22年はそんな平穏な21年と打って変わって、コスト削減圧力が高まる年となりそうだ。特集『総予測2022』の本稿では、損害保険業界の22年を予測する。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月25日・2022年1月1日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

コロナ禍でも業績堅調な損保業界
22年はコスト削減圧力が高まる

 損害保険業界は、2020年初頭から始まったコロナ禍の影響をほとんど受けなかった。各社が提供している事業者向けの保険商品は、感染症が原因の損失については補償の対象外。巨額の保険金を支払うことはなかったからだ。

 さらに21年は大型台風の上陸による大規模な洪水など、災害が少なかった。そのため業績は堅調に推移。11月に発表された21年度通期業績は、大手4社そろって上方修正した。

 だが、22年もそんな平穏な年を過ごせるとは限らない。コスト削減圧力が、21年よりも格段に上がることになるからだ。

 ではなぜ損保各社にコスト削減圧力が高まるのか。以降で詳しく見ていこう。