マニュライフ生命

マニュライフを襲う
本当のバレンタインショック

「うわっ、これじゃ本当のバレンタインショックじゃないか……」

 2月1日、外資系生命保険会社のマニュライフ生命保険の社内に衝撃が走った。社長名が付された全社員に向けた一斉メールで、2月14日に金融庁検査が入る旨が通告されたからだ。

 バレンタインショックといえば、2019年2月14日に国税庁が法人向けの節税保険に大なたを振るった日のこと。解約返戻率に応じて損金算入割合が決まるという通達が出され、いわゆるプラチナ型の節税保険のうまみが消え去ることとなった。

 その2年後、21年3月には低解約返戻金型の逓増定期保険を利用した資産移転プラン、いわゆる名義変更プランにメスが入った。こちらはホワイトデーショックと呼ばれ、解約返戻率が低い期間に法人から個人に名義を変更し、解約返戻率が高くなった時点で解約するという手法の封じ込めだった。

 バレンタインショックの後、この名変プランに傾倒していたのがマニュライフであり、多数の不正な募集文書の存在が発覚して社内が混乱したさまは、昨年5月の保険特集「保険の裏 営業の闇」で報じた通りだ(参照:実録・マニュライフ内部崩壊(上)国税庁を欺く「新型節税保険」を極秘開発!マニュライフ生命の内部資料で判明)。

 この名変プランについては、かねてうわさされていた通り、マニュライフ以外にも明治安田生命保険やSOMPOひまわり生命保険でも一部行われており、昨年11月の金融庁と生命保険協会との意見交換会の場でも、これら節税保険の実態についてくぎを刺す場面があった。

 だが、この問題はその後も継続。国税庁が「いたちごっこを解消する」と宣言したにもかかわらず、抜け穴を探し出しては節税を謳った保険販売が水面下で行われていた。
 
 2月9日には日経電子版が、金融庁と国税庁がタッグを組んで商品認可の審査段階のみならず、募集時にも不適切な募集を行っていないか節税保険の実態を調査すると報じた。きっかけとなったのは、懲りずに新たな節税保険の認可申請を行ったマニュライフだとされている。

 そうした中でのマニュライフへの金融庁検査は、もはや必然といえる。検査でのターゲットの一つは、昨年後半から行っていた個人年金保険での名変プランであるのは間違いない。

 加えて、金融庁は2月14日のバレンタインデーを待たずしてすでにプレ調査に入り、社員に対してアンケートを送付して内情をあぶり出そうとしているが、外貨建て保険を利用した「おかわりプラン」の存在も浮き彫りになるだろう。

 いったいマニュライフは何をやっていたのか――。