トラブル解決を弁護士に依頼するとき、気になるのが費用だ。弁護士費用を理解しないまま依頼すると、後で弁護士ともトラブルになりかねない。第4回は、依頼者が戸惑うことが多い弁護士費用について解説する。
弁護士費用の高低は
弁護士の考え方次第
離婚裁判を考えている人が法律事務所を訪ねたところ、弁護士から「着手金は31万5000円」と言われた。その額が高いのか安いのかわからなくて、別の事務所を訪れたら、「着手金は52万5000円」だった。さらに別の事務所に行ったら、「着手金は26万2500円」と言われたそうである。
このように、複数の弁護士に弁護士費用を尋ねると、同じ「裁判」という解決策を採っているにもかかわらず、大きく異なることがよくある。
弁護士費用の高低は、必ずしも実力差を示すわけでない点がやっかいだ。例えば、同種のトラブルを多く扱った弁護士は、専門性が高くなったとして高い額にすることもあるし、逆に手馴れて素早くできるから安い額にすることもある。
数年前までは弁護士会が「弁護士報酬基準」を定めていたが、現在は各弁護士が定めている。どういう報酬基準にするかは、弁護士の考え方次第なのだ。
そして、報酬基準はあくまで基準という“枠”を示しているにすぎない。例えば、事案の難易度、相手方が争うか、弁護士にどれくらい労力がかかるか、あなたがどれくらいの「経済的利益」を得るかなどに応じて、弁護士費用は決まってくる。
これは、オーダーメイドでトラブルを解決するため、一概に弁護士費用を提示することができないという事情もある。この点において、定型的な業務が比較的多く、分かりやすい費用を提示できる税理士等とは、かなり異なる。