下げ相場を我慢して、再上昇を待つには精神的な努力が必要だ。ただ、(1)、(2)、(3)のような状況が生じて金融政策の前提条件が変化したときには、株価の上昇は急激である公算が大きい。

「売っておいて、より下値で買い戻す」戦略の勝率は、賭けるに値するほど高くないのではないだろうか。

 ただ、「筆者自身が自由な投資家だったら」と仮定すると、株式投資額の1割か2割程度(どんなに大きくても2割だ)売っているような気がする。現実の筆者は、全世界株式のインデックスファンドをある程度持っているが、じっと持ったまま何もしていない。

 近年積立投資を始めたような新しい投資家の場合は、まだ投資額が十分大きくなっていないだろうし、株価の下落局面で「後から見るといいタイミングだった」と思える投資ができる可能性がある。下げ相場にたじろがず、積立投資を継続することをお勧めする。

 どのような形で投資しているにせよ、株式のリスクを取っている投資家にはしばらくの間は心配な日々が続くだろう。しかし、こうした「心配」があるからこそ株式には高いリターンが期待できる仕組みになっている。自分が受け入れられる大きさのリスクを持って、心配と付き合っていくことが投資の本質だ。

不安定な相場の中で見いだす
投資家の「楽しみ」とは?

「心配」だけではつまらないので、一つ「楽しみ」を追記しておこう。

 先ほどの(3)に該当する金融機関の経営不安や大手企業の社債のデフォルトなどの可能性は興味深い。こうしたイベントは、予兆なしにいきなり発生する可能性がある。その際に株価全般は大きく下げる可能性が高いのだが、それをきっかけにFRBが政策を転換する可能性がある。

 この状況が起こると、投資の絶好機になる可能性がある。「チャンスがあれば追加投資する」という心づもりで金策のめどを立てておくといい。