主としてコストプッシュ的インフレは一過性であり、継続する性質のものではない。しかし、これを短期的に金融政策で抑え込もうとすると、「原油価格が大きく下がるまで経済を不活発にする」レベルまでの金融引き締めが行われる可能性がある。

 FRBがインフレの抑制に短期的な成果を求めて、金融引き締めを「やり過ぎる」ことは当面の大きなリスク要因だ。「実は専門家にも加減が分からない局面」なので、その可能性はゼロではない。

FRBの政策転換の契機は何か
株価下落が終わる3条件

 いささか「前のめり」に見えるFRBが、金融引き締めを「止める」ないし「予想されていたペース以下に減速する」条件は何だろうか。そうした事態が起これば、株価の下落に終点が見えてくる。

 条件は三つあり得る。

(1)物価上昇が目に見えて終わったとき
(2)雇用が悪化したとき
(3)金融システムに不安が生じたとき

 この三つだ。

条件(1)
物価上昇が目に見えて終わったとき

 多くの経済主体が、金融引き締めによる金利の上昇を受けて、あるいは将来の影響を考慮してモノやサービスに対する需要を抑制することが明らかになって、物価の上昇が急激に止まる――。そうなれば、FRBにとっては「成果」なので、金融引き締めの加減を検討する契機になり得る。

 実質金利が上昇すると、経済活動は抑制されるが、それが物価に波及するまでにはしばらく時間が掛かりそうだ。中間選挙を控えるバイデン政権にとっても、手柄をあげたいFRBにとっても、株価への影響が気になる投資家にとっても、物価統計の動向は気になるものとなりそうだ。