一流は「警備員にあいさつする」
二流は「あいさつしない」

 一つ目のポイントは、「警備員にあいさつをするか否か」です。警備員が毎朝エントランスに立ち、「おはようございます」とあいさつをしても、あいさつを返してくれる人は2割程度です。3割の人は軽く会釈します。残りの5割は完全に無視をして通り過ぎます。

 その中で、一流の人のほとんどは、必ず警備員にあいさつをしてくれます。なぜかというと、「警備員を人間だと認識している」からです。

 このことはビジネスにも通じています。あらゆる商品やサービスを利用するのは人間です。一流の人は、接する人間の心情への想像力があるから、消費者の心をつかむヒット商品やサービスを生み出せるのだと思います。

 こうしたスキルを持っているからこそ、社会的立場の低い警備員という「人間」との接し方にまで気を配り、にこやかにあいさつをしてくれるのです。

 一方、二流の人は、無意識のうちに「警備員を警備ロボットだと認識している」かのようにあいさつを無視します。

 ですが、あいさつを無視されて傷つかない人間がいるでしょうか。警備員たちは、表情には出さなくても、毎日あいさつを無視されるたびに悲しい気持ちになっています。

 二流の人は、毎日顔を合わせる警備員の心情すら想像できず、当然、人の心をつかむヒット商品など企画できません。だから、いつまでたっても二流なのです。

一流は「歩くのが遅い」
二流は「歩くのが速い」

 二つ目のポイントは、「歩くのが遅いか否か」です。意外かもしれませんが、一流の人物ほど「歩くのが遅い」傾向にあります。一流ビジネスパーソンは分刻みのスケジュールで走り回っている、といったイメージがあるかもしれませんが、そもそもスケジュールが分刻みになっている時点で二流だといえます。

 某AI(人工知能)開発関連企業のCEOは、昼休みによく敷地内の公園をのんびり散歩していました。巡回中の私に頻繁に話しかけてくれ、お仕事のことを伺う機会があり、次のような話をされていました。

「堀田さん、急がなきゃできないような仕事なら、初めからしない。僕は好きなことしかしない。だから何も急ぐ必要はないんだ。このビルで働いている人たちが、どうしてみんなせかせかしているのか僕にはわからないね。何も焦ることなんてないのに」

 これぞ一流だと思います。歩くのが速くてせかせかしているような人は、スケジュール管理が甘く、ムダな仕事をして、時間を浪費しているから焦っているのだとわかりました。

 一流は、本当にしたい仕事に集中します。仕事中は作業に没頭し、それ以外の時間はリラックスタイム。スケジュールを完璧に管理できているから、歩くのが遅いのです。その時間に新たな発想が生まれることもあるのでしょう。

 同じ理由で、エントランスのソファなどに座って、PCやスマホで仕事をしている人も二流だといえます。通勤電車の中でPCを開いているなど論外です。

 自分はバリバリ働いているつもりかもしれませんが、そんな場所で仕事をしなければならない時点で、スケジュール管理が甘く、本来はオフィスでするべき仕事の集中力もなく、一流ではないことを証明しているといえます。