複数の業界関係筋によると、都内のテスラオーナーの過半数がマンションなど集合住宅に居住しており、その多くで普通充電器の設備がないという。そのため、公共の充電インフラを活用しているのだが、それを手間だと考えている人はほとんどいないというのだ。彼らの多くは、いわゆる“理系の人”で、ライフスタイルの中でテスラの充電を的確にスケジューリングすることに違和感がないらしいのだ。

 今回、「サクラ」と「ekクロスEV」の発表に伴い、テレビの報道番組などで「集合住宅では、充電インフラ設置について住民組合で合意を取ることが難しい」という指摘があったが、テスラにおける事例が都心部で軽自動車BEVにも当てはまることになるのだろうか?

 そうはならないかもしれない。軽自動車だけではなく、登録車(乗用車)の利用頻度が多い地域では、走行距離によらず、ガソリンやディーゼル燃料を定期的に給油する人が多いとはいえない。朝、会社に行こうと思ったら、想定したよりガソリンが減っていたので、慌ててガソリンスタンドに飛び込んだというケースも珍しくないだろう。このようにクルマをライフラインとして使っている人たちが、BEVの充電性能を見越して、ライフスタイルを変えることができるのだろうか?

 軽自動車の需要が多いこうした地域で、「サクラ」と「ekクロスEV」がどのように受け入れられていくのか?今後の市場動向を注視していきたい。