事実、男性トップアスリートの引退も、この年代の前後に集中。副交感神経の衰えが身体機能に影響を及ぼしていることは明らかです。女性では40代以降、心身に様々な不調を感じやすくなります。のぼせやめまい、動悸やイライラといった更年期特有の症状は、この時期にホルモンバランスが大きく変化することにより起こると考えられています。

 集中力や判断力が衰えたり、休んでも疲れがとれなかったりといった加齢による不調には、自律神経が大きく関わっています。年齢を重ねれば自律神経の乱れは必ず起こるものと考えて、早めに対策をとっておくことが必要です。

年齢より老けて見えるのには理由があった
自律神経が整うと若返る!?

 昔と比べて疲れやすかったり、同じような生活をしていても肌荒れが気になったり、今まで気にならなかった些細なことにイライラしてしまったりという状態を「年のせい」と思う方もいるでしょう。しかし、その一方で同じ年齢を重ねていても見た目も若々しく、健康でアクティブに過ごせている人が多いのも事実。

 その違いの理由には自律神経が大きく関わっています。自律神経が整うと胃腸の調子がよくなり、栄養素を十分に吸収できるため、血液の質が上がり肌や髪にツヤが出ます。吸収されなかった栄養素が脂肪として蓄積することもありません。つまり、自律神経のバランスがいい人は、見た目も、体の中身も実年齢よりも若々しくいられるのです。

 我々のデータでは男性は30代以降、女性は40代以降に自律神経のトータルパワーが10年で15%ずつ下がっていきます。若いうちは多少無理をして自律神経が乱れても、副交感神経がリカバリーして正常な状態に戻してくれていましたが、加齢によって副交感神経が低下するため、簡単にリカバリーできなくなるのです。そのため、年齢を重ねていくなかで、乱れがちな自律神経を整える努力が必要なのです。具体的には、下がってしまった副交感神経の働きを高めることが大切。免疫力低下に伴う病気の発症を食い止めるだけでなく、老化も遅らせることができます。