2018年に仮想通過流出事件を起こしたコインチェックを買収したマネックスグループ。オランダに設立したコインチェックの親会社を、今年中に米国のNASDAQに上場させる計画だ。ブロックチェーン技術が金融の在り方を激変させる可能性を秘めるが、日本の制度面での対応は十分なのか。特集『金融DX大戦』(全22回)の#21で、マネックスグループの松本大取締役会議長兼CEOが直言する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
コインチェック買収は内部統制の強化が前提
ブランディングのためにも投資してきた
――2018年に仮想通貨の流出問題が起きたコインチェックを買収し、買収後初年度の19年3月期の暗号資産事業の営業利益は21億円でしたが、22年3月期は286億円でした。
コインチェックについては、これまで内部体制の強化や人的な組織の拡充など、かなりの投資をしてきました。18年に金融庁から業務改善命令を受けたコインチェックを当社が買収するに当たり、これを改善することが前提だったと考えています。同時に、新規事業やブランディングに対する投資も行ってきました。
――コインチェックを今年中に米国のNASDAQに上場させる計画です。なぜ日本ではなく、米国のNASDAQなのですか。
1999年にマネックスを設立し、インターネット証券グループの一角を築いた松本大氏。現在は国内の証券業、米国の電子取引サービス「トレードステーション」、そしてコインチェックなどクリプトアセット(暗号資産)が事業の3本柱だ。
松本氏がコインチェックを日本ではなく米国で上場させる狙いは、日本の金融界や制度面への強い問題意識があった。ブロックチェーン技術が金融の世界を根底から覆す可能性がある中、日本が目指すべき方向にまで話は及んだ。