世界最先端といわれた日本の決済インフラ、「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」。しかしその抜群のシステムに“限界”を見いだし、多頻度小口決済のための新たな決済インフラを構築するのが「ことら」だ。特集『金融DX大戦』(全22回)の最終回では、お金にまつわる「ちょっとしたフリクション」を撲滅する意義や、それによりことらが目指す金融業界の近未来の姿などについて、川越洋社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 新井美江子)
世界最先端といわれた
「全銀システム」の“限界”とは?
――3メガバンクとりそなホールディングスのグループ銀行で「ことら」を設立し、多頻度小口決済のための決済インフラを新たに構築しようとした背景から教えてください。日本には「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」という決済インフラがすでにありますが。
全銀システムは、まさに日本の経済成長を支えてきたシステムです。異なる金融機関間の振り込みなどをオンライン、リアルタイムに処理するシステムで、1970年代から世界に先駆けて稼働している。しかも東日本大震災でも止まらなかった堅牢性も兼ね備えています。
ただし、そんな全銀システムにも課題が生じています。
世界最先端といわれた日本の決済インフラ、全銀システム。しかし、堅牢性をも備えるその抜群のシステムにも、時代を経たことで“限界”が生じ始めているという。
全銀システムの限界とは何か。ことらは、新たなインフラを構築することで、金融業界にどんな変革をもたらそうとしているのか。
次ページでは川越洋社長が、お金にまつわる「ちょっとしたフリクション」を撲滅する意義や、それにより目指す金融業界の近未来の姿などについて余すことなく語る。