ネットとリアルも一緒
電通メディアイノベーションラボ主任研究員の天野彬さんは、インターネットのあり方に変化が起きていると指摘する。
「もともとインターネットは、お互いのペースを保ってコミュニケーションを取れるという非同期的なところから出発しています。ただ、最近流行しているのは、ライブ配信サービスやメタバースなど同期系サービスがほとんどです」
物理的に顔を合わせることが真のコミュニケーションで、オンラインは従属的なもの――そんな価値観が主流だったが、若い世代を中心にネットとリアルの序列がなくなっているという。
「一緒にいることとネットでつながること、どちらも共通の思い出が作れて、お互いを知ることができるというのがZ世代の感覚です。道具的、非同期的だったネットのあり方が変わりつつあります」(天野さん)
AERA6月27日号 拡大画像表示
米調査会社data.aiが発表した「モバイル市場年鑑2022」によると、ゼンリーは昨年日本国内で8番目にダウンロードされている。とりわけ、Z世代と呼ばれる10代中盤から25歳頃までの年代の利用率が高い。
「察する」文化とマッチ
「日本は、このアプリの最大の市場です」
そう言い切るのは、ゼンリー広報担当者だ。「家族の見守り」を目的に15年にフランスで生まれたゼンリーは、ほぼ同時期に日本語版がリリースされた。すると、瞬く間に人気に。