新入社員に正しい「学び方」を教えることが大切
新入社員は、仕事の「学び方」を関根さんのようなプロの研修講師に教えてもらうことが早道だが、企業によっては、人事担当や総務部の社員が新入社員に「学び方」を教えるケースもある。
関根 新人にとって、特に「学び方」の習得が必要な時期は、新入社員研修の前と、部門に配属される前です。
最初に、「新入社員研修の正しい受け方」を人事部が新入社員にレクチャーするとよいと思います。たとえば、「研修は受け身の姿勢ばかりではなく、自分でできることがあったらどんどんやりましょう」などと伝えることも重要です。
部門配属の直前も、新人にとっては大事な時間です。配属される先がどのような部門なのか……など、新人は不安にちがいありません。実際の職場では、新入社員研修で学んだマニュアルどおりにいかないことも多々あります。人事担当者が「配属先の職場はあなたを歓迎するけど、職場の先輩たちは忙しいからその気持ちを表せないかもしれない」など、少しマイナスなことも含めて、「あなたの職場は○○な状況だから、□□するとよい」といったふうに「学び方」をアドバイスしていくことが配属後に役立ちます。
「教え上手」と「学び上手」が増えていけば、当然、組織も変わっていく。関根さんがこれまで関わってきた企業では、どのようなケースがあったのだろうか。
関根 「教える」という風土がほとんどなかった会社がありました。OJTトレーナーは新人を崖に突き落とし、そこから這い上がってくる人に目をかけるような方法でしたが……数年かけて研修を続けるうちに、社内に「教える空気」が生まれました。そして、現在は、新人が学ぶべき人を一覧にした「人脈マップ」ができ、その情報が年々書き加えられ、組織の中で受け継がれるようになっています。私たち外部の者はスポット的にしか組織に関われませんが、こうした変化を知れるのはとてもうれしいです。教える側と学ぶ側、双方の人間関係も良好になって、企業全体の成長にもつながっていきます。