「現在、ショートスリーパー固有の遺伝子は2種類見つかっており、この遺伝子を持っている人は10万人のうち4人ほどだといわれています。ロングスリーパーも同程度の割合だとすると、適正睡眠時間が極端な人は人口の1%以下にすぎません。99%以上の人は、6~8時間程度の睡眠時間が適切な『バリュアブルスリーパー』でしょう」(加賀氏、以下同)

 厚労省が推奨する通り、大多数の人間の適正睡眠時間が6~8時間であることは理解できた。だが、6時間と8時間では2時間も差がある。今日は6時間、翌日は8時間、その次の日は7時間…というふうに、バラつきはあれど、毎日6時間以上8時間未満の睡眠時間が確保できてさえいれば、バリュアブルスリーパーは問題なく生活できるということなのだろうか。

「6~8時間の幅のなかでどれくらいの睡眠時間が適しているかは、冒頭で説明したように体質と年齢で個人差があります。仮に、適正睡眠時間が7時間の人がいたとしましょう。この人の睡眠時間が7時間より短いと健康被害が出る恐れがありますし、反対に長過ぎても、寝付きの悪さや夜間の中途覚醒を引き起こしてしまいます。毎晩、人それぞれの適した睡眠時間をきちんと確保することがベストなのです」

 睡眠不足が人体に悪影響を及ぼすとは想像がつくものの、眠り過ぎも良くないとは驚きだ。

「適正な睡眠時間以上眠りすぎていると、寝付くまでに時間がかかったり、途中で目を覚ましてしまったりします。食事と同じで、腹八分目の状態が一番良いのです」