デンソーが開発した収穫ロボット。画像認識技術で熟した収穫適期のトマトを判別。夜間にも収穫作業を行うことができるデンソーが開発した収穫ロボット。画像認識技術で熟した収穫適期のトマトを判別。夜間にも収穫作業を行うことができる 写真提供:デンソー

デンソーとNECが農業に本格参入した。両社共に農家支援ビジネスをデジタル化のソリューション事業の柱にしようとしており、千億円単位の事業目標を掲げる。農業界は肥料の高騰によって大淘汰時代を迎えており、生き残りに向けた農家の投資意欲は強い。この追い風を受けてチャンスをものにできるのか――。両社の野心的プランの成否に迫った。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

デンソーは定款に「農業」を追加
NECは事業価値で1000億円目指す

 過去の事例とは一線を画す企業の農業参入になりそうだ。これまで企業による農業といえば、外食チェーンや食品メーカーなどによる農産物の生産が中心で、農家へのソリューションの提供は小規模にとどまっていた。デンソーとNECは農産物の生産だけではなく、流通・販売の領域まで手掛けることを視野に入れており、世界的な食のバリューチェーンをデジタル技術でつなごうとしている点で過去の事例と大きく異なる。

 両社はまず、トマトの生産性改善で世界に打って出る。果たして農業のグローバル市場で存在感を示せるのか。次ページでは、両者の戦略を解剖する。