PBRPhoto:PIXTA

東京証券取引所が是正を求める中、株価の割高・割安感を示す株価純資産倍率(PBR)で1倍割れオンパレードなのが、電力・ガス・石油元売りセクターの主要企業だ。しかし出そろった2024年3月期決算で見ると、1社が抜け出した。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、この1社の実名を明かすとともに、その背景について解説する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

装置産業のエネルギー大手
資本効率悪くPBRは低い傾向

 東京証券取引所は2023年、プライム上場企業などに株価純資産倍率(PBR)1倍割れの是正を要請した。

 PBRの計算式は「株価÷1株当たり純資産」。1倍を割り込んでいると、株主からすれば株を売却するよりも会社を解散して純資産を分配してもらった方がいい状態といえ、会社は株主の期待に応えられていないと評価できる。

 発電所や都市ガス製造所、製油所などを備えるエネルギー大手は多額な設備投資が必要な装置産業の側面が強い。そのため資本効率が悪く、PBRが低くなる傾向がある。

 それでも東証からの要請などもあって、近年はPBRを含めた財務指標改善を意識した経営が目立ってきた。

 さて、24年3月期決算が出そろい、電力・ガス・石油元売りの主要企業(各業界トップ3社の計9社)を見ると唯一「PBR1倍超え」を果たした企業があった。その企業が達成した背景を解説するとともに、9社のPBRランキングを見ていく。