儲かる農業堕ちたJA#3Photo:David Silverman/gettyimages

いよいよ農業の構造変化が起きる時が来た。企業は農家の激減を見据え、大淘汰時代を生き抜けるビジネスモデルを築いてきた。特集『儲かる農業 堕ちたJA』(全17回)の#3ではその代表例である三菱商事の畜産ビジネスを解剖する。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

畜産に続き、コメ、野菜でも
売上高100億円超の農家が誕生へ

 高齢化した農家(2021年の基幹的農業従事者の平均年齢は67.9歳)に、肥料や飼料などの価格高騰といった七つの大波が押し寄せている。

 だが、企業的な農業を標榜する経営者は農業界に“厳冬期”が到来することを予想し、それに耐えるための投資を行ってきた。農家の大淘汰の後には、「供給過剰」と「他国より安過ぎる食品価格」という二つの問題が解消され、商機が生まれる。先行投資を行う価値は十分にあるわけだ。

 これまでの先行投資が実を結び、収穫期を迎えているケースの代表例が、三菱商事が構築した「畜産のビジネスモデル」だ。

 次ページでは、三菱商事とJA全農の食肉ビジネスを比較しながら、両社の「競争力格差」を明らかにする。また、主要な農作物・畜産物農家で進む「豪農化の進捗度」を図版で分かりやすく説明していこう。