仕組み債に問題があるといえる
2つの理由

 結論を言えば、筆者が仕組み債に問題があると思っている理由は大きく2つあると考える。

(1)リスクに見合うリターンが小さい
ノックインがあった場合に限られるとはいえ、株価下落による損失の見返りがせいぜい2%程度の金利というのは、あまりにもリスクとリターンがアンバランスである。

(2)情報開示が徹底されていない
手数料や価格に関する情報が他の金融商品に比べて、十分に開示されているとはいえない。これは説明不足以前の問題である。

 結局、高いリスクを取りたくないはずの高齢者や投資に不慣れな人ほど被害を受けやすい、という矛盾をはらんでいるのが「仕組み債」なのである。

 金融庁も日本証券業協会も仕組み債については金融機関に対して「重要情報シート」を作成するように求めているが、形式だけ整っていればよいということではなく、真の意味でのフィデューシャリーデューティー(金融機関が投資家に対して負う責任)を真っ当することが求められるのではないだろうか。

(経済コラムニスト 大江英樹)