検索ツールが発展しても
“記憶”が必要なワケ

 インターネットが身近にある今は、さまざまな情報や知識が瞬時に手に入る。そのため「検索するなら、記憶しなくてもよいのでは?」と考える人もいるかもしれない。

 しかし畔柳氏は「自分で身に付けた知識の価値は現代のほうが大きい」と語る。

「どんなに手軽に情報が入手できても、それを理解するために必要な知識がなければ、検索した内容は意味をなしません。反対に、多くの知識が記憶として蓄積されていれば、既存の知識をベースにした新たな知識の活用法が見つかる可能性があります。情報が誰でも瞬時に手に入るからこそ、今は情報そのものよりも、個人の知識が価値を持つ時代になっていますね」

 検索した情報を生かすには、自分の記憶にサポートしてもらう必要があるのだ。

 そして畔柳氏は「多くの知識を得ることは、自分の世界を変えるほどのインパクトがある」と、その魅力を語る。

「知識が増えると、世界の解像度が上がります。たとえば、日本ではあまりなじみがない『ロマネスコ』という野菜の存在を知り、記憶したとします。すると、飲食店に行ったときに、ロマネスコを使ったメニューの名前が目に入るようになる。ロマネスコを起点にして、それに関連する情報もキャッチできるようになった証拠です。その分、世界が広がりますよね」