独学力#4
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せっかく勉強しても、知識が定着しなければやらなかったことと同じになってしまう。特集『あなたの人生を変える!「独学力」』(全10回)の#4では、記憶力の日本チャンピオンであり、日本人として初めて「記憶力グランドマスター」の称号を獲得した池田義博氏が、脳の力を利用した記憶の定着法を伝授する。

「週刊ダイヤモンド」2017年10月7日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

世界記憶力グランドマスターが伝授!
脳にまかせる知識定着法

「脳はいつからでも鍛えることができる」――。日本記憶能力育成協会会長の池田義博氏は、それを身をもって実証した人物だ。

 家業を継いで塾を経営していた40代半ばのころ、役に立ちそうな教材を探している中で記憶術に出合った。さまざまな本を参考に独学で記憶術を身に付け、実力を試そうと記憶力日本選手権大会への出場を決意。しかし、いざ出場に向けて練習してみると、昔からの記憶術では非常に効率が悪いことに気付く。そこで、脳の記憶の仕組みについて勉強を始めた。

 そうして分かったのは、「脳の性質をうまく利用すれば記憶力を上げることができる」ということだった。

 池田氏がつかんだ記憶力アップのポイントは三つある(上図参照)。一つ目は、脳に対して覚えようとする「意志」を示すこと。言い換えれば、「本気で集中している」ことを脳に示すということだ。

 もしも勉強をしながらスマートフォンを見たりしていると、脳は勉強を重要なことと見なさず、覚えようとしなくなってしまう。本気の集中を示すことで、記憶のスイッチが入るのだ。

 二つ目は、何回も復習すること。脳は何度も繰り返し入ってくる情報に対して、「こんなに何度も訪ねてくるのだから、重要な情報に違いない」と判断し、長く記憶に残そうとするのである。ただし、後述するように、繰り返すタイミングにはコツがある。

 三つ目は、感情を利用すること。脳は感情が伴った情報を優先して記憶するようにできている。覚えることに対して、何か気持ちが動くような情報を付け加えると覚えやすくなる。例えば、初めて会った人の名前や顔は、似ている芸能人を思い浮かべると記憶に残りやすくなる。

「集中して、楽しみ、復習を繰り返す。この基本を守れば、誰でも、何歳からでも、必ず記憶力を高めることができる」(池田氏)

 実際に池田氏は、2013年に初出場した記憶力日本選手権大会で見事優勝し、記憶力日本一となる。その後、14年、15年と3連覇を達成、17年も優勝し、出場した4回全てでチャンピオンとなる偉業を成し遂げた。

 また、13年に英ロンドンで開催された世界記憶力選手権で、日本人初の「記憶力グランドマスター」の称号を獲得した。