伊藤忠が米IT大手と独占契約を結ばなかった理由、「競合が増えてもいい」の真意はPhoto:123RF

サン・マイクロシステムズの
サーバーの総代理店に

 1992年に伊藤忠に入社して以来、IT、情報産業の最前線で走り回ってきたのが堀内真人だ。入社してから2年間はまだファックスとテレックスで仕事をしていたのが、94年に社内メールが始まり、95年には全面的に切り替わったことを覚えている。

 堀内は言う。

「私は94年にCTCへ出向して以降、コンピューターと通信の関連業務に携わっています。当時、伊藤忠の情報通信分野には業務用プリンターを売っていた部隊とコンピューターを売っていた部隊がありました。ところがプリンター、コンピューターともに売り上げが落ちてきて、さあ、どうしようかというときにサン・マイクロシステムズのサーバー、シスコシステムズのルーターを取り扱うようになったのです。この時から、システムインテグレーターというビジネスが立ち上がりました」

 堀内の説明から感じるのは、商品を転換した際の機敏な動きだ。

 伊藤忠はプリンター、コンピューターの販売からサーバー、ルーターの販売へ移った。そしてCTCを顧客志向のシステムインテグレーターとして成長させ、上場させている。その間、10年に満たない。ITの世界ならではのスピードがそこにある。伊藤忠とCTCはスピードを重んじる世界のなかで、自分たちもまた加速した。

 堀内の話は続く。