学生の本音は「恥ずかしくない会社名を言いたい」
ダイヤモンド・ヒューマンリソースの長期間にわたる“就職人気企業ランキング”の変遷から、学生の意識の変化を整理してみよう。
1990年頃まで、文系男子では、金融(銀行)系の人気が高く、理系男子では電機系など、メーカーの支持が強かった。文系女子では旅行系や航空会社などが強く、理系女子では食品系メーカーなど、身近なBtoC企業が人気だった。
また、バブル期は大卒の半数近くが上場企業に入社できたともいわれる「売り手市場」だったが、バブル崩壊後、日本は30年間以上もデフレ傾向が続き、学生の「安定志向」が急速に強まった。特に、女子学生は就職することだけではなく、長く働き続けられるかどうかが重要な選択基準となった。
さらに、最近は、親の影響も強く(いわゆる「オヤカク」の有無)、知名度の高い企業に入ることで周りから認知されたいという「自己承認欲求」からの判断も見受けられる。
高村 最近の学生と話をしていると、どこから内定をもらったかを大学のキャリアセンターや就活中の友人から聞かれたとき、「恥ずかしくない会社名を言いたい」という声を聞きます。それらを最大公約数的に満たす選択肢が、有名企業や大手企業であり、経営状況の好調な業種であり、財閥系ということになるのでしょう。
“企業選び”において、多くの学生の視野が狭いのはいまに始まったことではない。「学生が企業の実態を正しく知っているのか」についてはいつの時代も疑問符がつく。
高村 消費者の自分が、その製品やサービスに接したことがあるか、テレビやウェブでCMを見たことがあるか、といったことが、“企業選び”の入り口になっているのは事実です。
モニターの学生に日経新聞の株式欄を見せて、「どの企業を知っているか?」と聞いたことがありますが、せいぜい20社から30社程度でした。たとえ、世界的に有名な企業でも、BtoBの企業になると、「知らない」と答える学生が多いです。