【雑談がラクになる】「ちょっとした会話」に使える話題ベスト3

「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャンだ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(ジル・チャン著、神崎朗子訳)は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? 著者にZoomインタビューを敢行、同書について存分に語ってもらった。(取材・構成:田中裕子、写真:Wang Kai-Yun)

「身につけているもの」をパッと話題にする

――たとえば街でばったり知人に会ったときやカフェの店員さんに話しかけられたときなど、軽い雑談ができずに気まずく感じてしまうことは少なくありません。とくに内向型は雑談が苦手だと『「静かな人」の戦略書』に書かれていました。どのように切り抜ければよいでしょうか?

ジル・チャン(以下、チャン):アメリカでは、知らない人にも「その犬、かわいいね」「今日はいい日だね」と話しかけるのが普通ですが、台湾にはそういうラフな雑談を交わす文化はありません。

 わたし自身、内向的なので、いまでも声をかけられるたびに頭が真っ白になって疲れてしまいます。ですから、雑談はなるべく避けるようにしているんです。自分のなけなしのエネルギーを、そこに費やす必要はありませんから。

 とはいえ、知り合いとか、関係的にどうしても雑談をしたほうがいい場面もありますよね。

 そういうときは、相手が「身につけているもの」から話題を探します

 着ている服や使っているノート、携帯電話のケース、なんでも構いません。目に入ったものを話題にして、「素敵な帽子ですね」などと伝えれば、相手からもリアクションが返ってきて、立派な雑談になります。

【雑談がラクになる】「ちょっとした会話」に使える話題ベスト3

話題がないときに便利な「3つの話題」
──「急に自然には話せない」と肝に銘じる

――目に入るもので、とくに話題になりそうなものがないときはいかがですか?

チャン:わたしは常に、3つのトピックを頭に用意しています。それが、「天気」「食べ物」「休暇」です。

 この3つは性別や年代といった属性にかかわらず、誰もがそれなりに話すことを持っている話題です。困ったときには思い出してみてください。

 あとは、わたしは会社で移動するとき、エレベーターホールに向かいながら「もし上司や同僚が乗っていたら何を話そう?」といつも考えていますね

 キャリアの初期には「調子はどう?」という軽いあいさつに備え、返答を数パターン用意して淀みなく言えるよう練習もしていました。

――雑談も「準備」で切り抜ける。何ごとにも用意周到な「静かな人」ならではの戦略ですね。

【雑談がラクになる】「ちょっとした会話」に使える話題ベスト3

社交の場は「行かない」という選択肢も考える

――チャンさんはビジネスの場でイベントやパーティに参加することも多いそうですが、内向的な人が社交の場に出向くときのアドバイスはありますか?

チャン:パーティは、いまも悪夢のひとつです(笑)。以前はトレーニングだと思って行っていましたが、いまはなるべく行かずに済む道を探すようにしています。

 というのも、さきほどインタビュー第2回「『ストレスに強い人』『弱い人』考え方の1つの違い」参照も言ったように、自分の限りあるエネルギーをいかに効率的に使うかを考えるようになったからです。社交の場に参加すれば自分のエネルギーレベルが減少し、ぐったりすることはわかりきっていますから。

 なので、パーティの予定があったら、まず「ほんとうに行く必要があるのか?」と自問します。どんな目的があって、仕事にどんなふうに役に立つのか、じっくり分析するのです。

 行く理由が「上司からの命令」だったら、「そこに会うべき相手がいるのか」「既存顧客とパートナーシップを構築したいのか」など、上司の目的を確認します。そして、もっと効率よくその目的を達成する方法がないのか、代替案を探ってみる

 たとえばソーシャルメディアで連絡を取る、電話をかける、共通の知人に紹介してもらうといったほかの方法でその目的を果たせそうなら、その旨を上司に伝え、パーティーには不参加という手も取れるはずです。

【雑談がラクになる】「ちょっとした会話」に使える話題ベスト3

パーティを乗り切る3つのコツ

――雑談もパーティも「避ける」がベストなんですね。それでも、どうしても参加しないといけないときはどうすればいいでしょうか?

チャン:パーティを乗り切るには、3つのコツを意識しています。

 1つが、「事前に準備する」。可能なら、どんな人が参加するのか知るためにあらかじめ参加者リストをもらって、だれと話せばいいのか、考えておきます。また、GoogleやSNSなどで、話すべき相手の背景や興味などを調べておきます。

 また、当日は早めに到着することも大切です。会場の雰囲気に慣れておくことで、多少は気持ちを落ち着かせることができます。

 2つ目のコツは、「調べてきた話題から会話を始める」こと。「この人は自分のことをよく知っているな」と思ってもらえれば、短い時間で打ち解けて話すことができます。

 3つ目のコツは、「3人ほどのグループに溶け込む」。内向型は大人数の中で話すより、少数の人と会話をするほうが得意なので、少人数のグループに入るのが得策です。

――次回のイベントやパーティで試してみたいと思います。

チャン:行かないのがいちばんですけどね(笑)。

【大好評連載】
第1回「無口でも評価される人」と「軽んじられる人」の1つの違い
第2回「ストレスに強い人」「弱い人」考え方の1つの違い
第3回【雑談がラクになる】「ちょっとした会話」に使える話題ベスト3
第4回 うるさい「高圧的な人」を一発で黙らせるシンプルな一言
第5回「謙虚でも自然に評価される人」がしている1つのこと

【雑談がラクになる】「ちょっとした会話」に使える話題ベスト3ジル・チャン(Jill Chang)
ミネソタ大学大学院修士課程修了、ハーバード大学、清華大学でリーダーシップ・プログラム修了。ハーバード・シード・フォー・ソーシャル・イノベーション、フェロー。アメリカの非営利団体でフィランソロピー・アドバイザーを務める。過去2年間で行ったスピーチは200回以上に及ぶ。15年以上にわたり、アメリカ州政府やメジャーリーグなど、さまざまな業界で活躍してきた。2018年、ガールズ・イン・テック台湾40アンダー40受賞。本書『「静かな人」の戦略書』は台湾でベストセラー1位となり、20週にわたりトップ10にランクイン、米ベレットコーラー社が28年の歴史で初めて翻訳刊行する作品となり、第23回Foreword INDIES「ブック・オブ・ザ・イヤー」特別賞に選出されるなど話題となっている。現在は母国の台湾・台北市に拠点を置きながら、内向型のキャリア支援やリーダーシップ開発のため国際的に活躍している。
【雑談がラクになる】「ちょっとした会話」に使える話題ベスト3