企業のガバナンス改革の急加速で、バブルに沸く社外取締役。しかし、内実は女性や外国人のアリバイ選任や「お飾り」でも高報酬の社外取がはびこっている。ダイヤモンド編集部は上場企業3700社の社外取「全9400人」を徹底分析。“老人支配”や赤字でも高報酬、サボりや過剰な兼務の実態などを浮き彫りにする。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)
社外取は“最”上級国民!?
大赤字でも報酬2500万円
社外取締役は日本の“最”上級国民――。編集部の総力取材で上場企業3700社の社外取「全9400人」を分析すると、そんな実態が明らかになった。
経営トップに隠れ、スポットライトを浴びる機会の少ない社外取だが、今や上場企業のトップ人事を左右する存在で、国や産業界が進めるガバナンス改革の主役に据えられている。
ところが、である。実際にはサボりまくりの完全なお飾りポストで、それでいて高年収のお気楽な特権階級なのだ。
社外取の岩盤利権構造を示す第一が年齢。『社外取締役「高齢&長期在任」ランキング【トップ100人】最高齢99歳、上位にシャープや新日鐵出身の大物も』では、“老人支配”の実態を明らかにした。社外取全体の6割強を65歳以上が占め、最高齢はなんと99歳だ。
次が報酬だ。会社が1兆円を超す大赤字を計上していても、2500万円の報酬を平気でもらっている(『赤字・解散価値割れ企業なのに「高報酬な社外取締役」100社273人の実名、赤字1兆円超で報酬2500万円も!』参照)。しかも、社外取の3~4社兼務で数千万円規模の高額報酬を得るのは当たり前だ。
にもかかわらず、取締役会への出席率が異様に低い社外取も多い。大手キー局には、サボりまくっている名門私立大学元総長もいる――。『社外取「取締役会出席率」ワーストランキング【全55人】フジテレビで“7回中4回”の元私大総長も』ではワースト55人の実名を公開している。
あなたの会社は大丈夫?そんな疑問に答えるため『社外取締役・実名ランキング【上位4000人】報酬、兼務、業績で9400人の全序列を初試算』で、社外取「全9400人」を実名でぶった斬った。
トップ人事のみならず、企業の重要な意思決定を下すということは、「社外取が腐れば会社も腐る」のである。