女性の社外取締役のニーズが高まっている。一方で、女性比率を上げるための単なる「数合わせ」のような姿勢の企業もあるのが現実だ。そんな“時代遅れ”の考え方に対し、現役の女性社外取たちが大反論する。特集『社外取「欺瞞のバブル」9400人の全序列』の#20では、女性社外取を直撃し、働きぶりの実態について話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
「女性なら誰でもいい」との企業も
女性社外取の“ハイパーインフレ”?
「女性社外取の“ハイパーインフレ”が起きている」――。
ある上場企業で社外取締役を務める男性はこう話す。周囲の経営者に話を聞くと、単に「女性だから」という理由で、女性に社外取締役就任を要請する企業もあるという。
現役の女性社外取である岩田宜子氏(SMCなど2社)はこう話す。
「『女性なら誰でもいいから紹介してくれ』という依頼は少なくない。昨年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂以降、そういった話が特に増えている」
2021年6月の同コード改訂では、女性の活躍促進を含む取締役会メンバーの多様性確保がうたわれている。そのため、取締役会がほぼ全員男性で構成されている企業が、女性の社外取獲得に向けて慌てて動きだしたというのだ。
「女性なら誰でもいい」などという基準で女性社外取を呼んで、果たして企業価値を向上させられる人物に来てもらえるのだろうか。
女性社外取は「お飾り」?
現役女性社外取が大反論!
積水ハウスなど3社で社外取を務める中島好美氏は、こんな経験があるという。
「社外の人に会ったときに『社外取をしている』と言うと、『月に1~2回取締役会に出るだけで高給がもらえていいね』と言われたことがある。『お飾り』みたいなものだというイメージがあるようだ」
実際、女性社外取あっせんビジネスを展開し、資質をきちんと担保せずに“暗躍”するプレーヤーも登場している。それが女性社外取バブルを加速させてもいる。
果たして本当に女性社外取は「お飾り」なのだろうか。次ページでは、上場企業で4社以上もの企業の社外取を兼務する“敏腕”の女性社外取16人の顔触れを紹介するとともに、時代遅れともいえるこのような固定観念に対し、現役の女性社外取たちが大反論を繰り広げる。
流通大手の経営トップを指名する委員会のメンバーとして、23年ぶりにトップを刷新するといった重大な経営判断に関与する女性社外取も併せ、女性社外取たちの働きぶりを明らかにする。