社外取「欺瞞のバブル」9400人の全序列#5Photo:123RF

取締役会への出席義務がある取締役だが、「規格外」の社外取締役もいる。およそ3週間にわたり公開予定の特集『社外取「欺瞞のバブル」 9400人の全序列』の#5では、取締役会への出席率が低かった社外取ワースト55人の実名を公開する。在京キー局社外取の元名門私大総長は「7回中わずか4回」で落第点。キー局で「天皇」と称される大御所も上位に入った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

出席率75%未満はアウト
取締役会の形骸化招く社外取55人

「経営を社外の目で監視・監督する」ということが、社外取締役に求められる重要な責務である。忖度がはびこり、健全な議論ができないようでは取締役会が形骸化する。企業価値向上につながる建設的な話し合いができるように、取締役会の変革を促す上でも、社外取の出席率は注目されているのだ。

 実際、世界では「社外取は原則として全ての取締役会に出席すべきだ」という考えが投資家に広まっている。機関投資家の判断に強い影響力を持つ、米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は75%以上の出席率を求めており、未達成者の再任に反対する。国内大手運用会社のアセットマネジメントOneの出席率の基準は、これより厳しい85%を設定している。

 そこで、ダイヤモンド編集部は、企業統治コンサルティングのプロネッドが集計したデータを基に、社外取「取締役会出席率」ワーストランキングを作成した。取り上げる社外取は計55人。出席率のほか、取締役会への出席回数と推計報酬額も併せて載せた。いずれの社外取もISSが示した出席率基準の75%を下回っている。日本では、依頼する企業側もお飾りを求めているかもしれないが、就任する社外取側も「名前を貸す」程度に軽く考えている節がないだろうか。

 年間数百万円をもらいながら、サボり癖がある55人の顔触れを見ると、民放キー局で社外取を務める元名門私立大学の総長が「取締役会7回中、出席がわずか4回」で落第点となった。また、別の民放キー局で「天皇」と称される大御所も、映画制作会社の社外取としてランキングに名前が入った。高級ホテル「御三家」の社外取を務める大手ビール会社の元首脳もランキングに登場する。他にも地方の業界団体元幹部や大物政治家の顔が並ぶ。

 なお、推定報酬額から出席1回当たりの報酬額を計算すると、464万円に上る者もいた。それでは、責務を果たしていない社外取の実名を確認していこう。