まず一つは、ブリの稚魚が不漁であったこと。そして、海水温の上昇や病気の流行があり、ブリを生育する環境が整わなかったこと。これに加えて、コロナ禍で受給が不安定な状況が続いていることが関連していると思われます。

 さらに追い打ちをかけているのが、昨今の円安やウクライナ危機です。養殖魚自体は国産とはいえ、その育成に使われる飼料は輸入の依存度も高く、生産コストを押し上げています。

 このように、すしネタとして使われる水産品にも、昨今、さまざまな面で値上げにつながる変化が起きています。そのため、見渡してみれば、マグロも高騰、サーモンも高騰といったように、さまざまなネタの原価が軒並み高騰する状況が続いているのです。

狙い目のネタは?
キーワードは「国産・天然・豊漁」

 昨今の情勢を受けて、軒並み値上がりしている水産品。しかし、種類も多いため、その全てが高騰しているわけではありません。ごく限られた魚種になりますが、それほど値上がりしていないものもあります。

 では、どのような魚種がそうなのか。それは、値上がりの原因の“逆”をたどれば見えてきます。

 まず、値上がりの原因の一つは円安による輸入コストの増加でした。これの逆、つまり、国産物はその影響を受けにくいといえます。

 さらに、前述の通り、養殖物は育成の際の飼料などが輸入の影響を受けやすいですが、逆に言えば天然物はその影響を受けにくいといえます。

 また、昨今の海水温上昇などで取れにくくなっている魚種も多いとはいえ、一部豊漁の魚種もないわけではありません。

 これらをまとめると、国産・天然・豊漁の魚は、価格上昇の影響をまだ受けにくいといえます。

 こうして迎える今年のお盆。ここからは、これらのポイントを押さえ、もう少し具体的に今おすすめのすしネタについてご紹介していきます。