運動の中でも有酸素運動では、体に酸素を取り込まなくてはならない。運動では筋肉の収縮が必要だが、そのエネルギーは体内の糖や脂肪が酸素と結合することで作られる。喫煙者の場合、体内では酸素の供給がうまく行われていない可能性が高いだろう。

禁煙治療にも
健康保険が適用される

 喫煙者がもっと楽しくもっと快適に運動を楽しむためには、禁煙にチャレンジしてみるのがお勧めだ。禁煙は、医療施設による禁煙治療と自力で禁煙する方法に分かれる。

 医療施設では「禁煙外来」を設置している場合がある。2006年4月から禁煙治療にも健康保険が適用されるようになった。2016年にはニコチン依存症管理料の対象患者が拡大され、患者基準を満たす35歳未満の人であれば、喫煙本数や喫煙年数に関わらず保険が適用される。禁煙のために病院を利用しやすい環境が整ってきているのだ。

 健康保険は、12週間に5回の禁煙治療プログラムに適用される。呼気一酸化炭素濃度測定やニコチン依存度の検査などが行われ、症状に合わせて貼り薬や飲み薬が処方される。禁煙の継続に関して医師や看護師からのアドバイスを受けることもでき、禁煙治療に対する疑問や不安の解消もサポートしてもらえるのは大きなメリットだ。近年は禁煙治療用アプリやCOチェッカーも治療の一環として活用されている。

 自力で禁煙する場合は、市販のニコチンパッチやニコチンガムといったニコチン製剤などを利用する方法がある。ただし、医師が処方する禁煙治療薬と市販薬の効能は同じではない。医師が処方する禁煙治療薬には、離脱症状の緩和や喫煙による満足感の抑制作用が期待できる。

 市販のニコチン製剤は、禁煙中のニコチン欠乏によるイライラなどの症状を緩和する。あくまで禁煙の補助をする性質であり、医師が処方する医薬品と比較すると効果は弱い。