西側諸国の政府は、中国の工場への依存度を下げる方法を模索しているが、それとは裏腹に、中国はこの2年間で世界の工業製品供給国としての支配的地位をより強固にした。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響が後退すれば、中国が世界市場で得た優位性がいくらか失われるかもしれない。だが、直近の傾向は「世界の工場」との関係を断つことがいかに困難かを浮き彫りにした。中国の工場が半導体やスマートフォンなどの高性能製品や、電気自動車(EV)やグリーンエネルギーといった新テクノロジー分野に進出するにつれて、政界で言うところの「デカップリング(切り離し)」は一段とハードルが高くなっている。米国と同盟国の一部は、国家安全保障や世界的サプライチェーン(供給網)の脆弱(ぜいじゃく)性などをめぐる懸念を受け、中国依存への警戒感を強めている。中国はそうした懸念をはねつけているものの、中国にも西側との結びつきを弱めたい独自の理由がある。すなわち長年の課題として、欧米市場への過度の依存を断ち切り、国内消費をてこにして自国経済を新たな高みに引き上げたいと考えているのだ。
コロナ下で中国依存に拍車 「世界の工場」拡大
安全保障面やサプライチェーンの懸念はあるが、脱中国の道は遠く
有料会員限定
あなたにおすすめ