中央銀行当局者の間では、足元のインフレ高進は一時的な現象ではなく、常態化する新たな現実の到来なのではないかとの懸念が浮上している。世界的な交易の落ち込みや慢性的な労働力や資源の不足に対処するため、中銀はここ数十年よりも、金利をより高く、より長期にわたって引き上げる必要に迫られるかもしれない。それは成長低迷、失業率の上昇、より頻繁なリセッション(景気後退)につながりかねない。米連邦準備制度理事会(FRB)による現在の利上げ局面が、米経済をリセッションの瀬戸際に追い込んでいるとエコノミストは指摘している。だが、これも新たな環境のほんの始まりに過ぎないかもしれない。カナダ銀行(中央銀行)とイングランド銀行(英中央銀行)の総裁を務めたマーク・カーニー氏は3月、経済関連の会議で「世界経済は一連の大きな変化を迎えている」と述べている。「低インフレと抑制されたボラティリティー、緩い金融環境という長い時代は終わりを迎えつつある」
パウエル氏の難題 インフレが常態化する時
ジャクソンホール会議に集まる中銀当局者は不安定な新時代の到来を懸念
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