フィンランドでは1960年代、各家庭が食料を備蓄するのが一般的だった。その背後にあるのは、全ての国民は戦争のリスクに備えておく必要があるという考え方だ。ロシアのウクライナ侵攻開始から半年がたち、数十年にわたり中立政策を貫いてきたフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)加盟を控える中で、国民の多くはこの冷戦時代の習慣を復活させようとしている。フィンランドのペッカ・ハービスト外相はインタビューで「母は自宅に食料や蓄えを常に確保しておくよう気をつけていた」と話した。「ここにきて『家族が1週間しのげる用意ができているか』といった議論が再び行われるようになっている」米国では、新型コロナウイルス禍でスーパーから商品が消えるとの懸念から、食料を買いだめした人もいるかもしれない。しかし、フィンランドではかねて、食料備蓄はロシアの侵攻による存亡の危機と切り離せない問題だった。国民の間で自給の精神が浸透している理由について、1939年秋から3年半にわたって旧ソ連軍と激しい戦いを繰り広げた「冬戦争」を挙げる声は多い。
変わるフィンランド、NATO集団防衛へ備え強化
中立の看板を下ろしウクライナ支援を言明、対ロシアで軍事貢献目指す
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