デジタル化の波は今後も止まらない。日本も遅かれ早かれ、中国のように生活に浸透していくだろう。高齢者が取り残されないためには、政府をはじめ、地域や事業者、家族間で支えていくしかないと考える。

 例えば、筆者が通う全国チェーンの大手スポーツジムは、従来は人気レッスンを受けたい場合、「早い者勝ち」で受付のカウンターで整理券をもらわなければならなかった。一昨年からWebでの予約システムに切り替えた。日中の利用者は中高年が多いため、スタッフ全員で丁寧にサポートした。それには長い時間を要したと記憶している。その結果、今やみんなが快適に使えるようになったのだ。

 日本と中国に共通する「デジタル高齢者難民」問題について、筆者の知人で中国の高齢者問題の専門家は、次のように語った。

「高齢者は長く生きてきた分、彼ら独自の生活習慣をそう簡単には変えられない。そういった習慣は、社会として尊重しなければならない。デジタル化を推進すると同時に、余白を残すことも大事だ。高齢社会への道程は、日本の取り組みが中国にとって参考になる点が多い。高齢者にとって優しいデジタル社会について、日中両国の交流によって参考になる解決策が多く出てくるのではないか」

 同じ高齢化社会を生きる人間として、より良い生活への向上のために、日中双方でお互い知恵を出し合っていきたいものである。