三菱地所と竹中工務店が建材調達で7社連合の新会社を立ち上げ、工場の稼働を開始した。鉄骨や鉄筋に代わる建築物の構造材として注目されているCLT材において、資材高や取引会社による中間搾取とは無縁になる仕組みを作り出したのだ。特集『沈むゼネコン 踊る不動産』(全20回)の#7では、業界のヒエラルキーを崩す新勢力の威力に迫る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
資材高とほぼ無縁になる
建材調達の新たな仕組み
三菱地所グループは、CLT(Cross Laminated Timber)材と呼ばれる建材の調達において、世の中の資材高とはほぼ無縁になる仕組みを作り出した。大手ゼネコンの竹中工務店などと手を組んだ会社が、今年6月に工場を稼働させたことによるものだ。
CLT材とは、木の板の層を各層で互いに直交するように積層接着した大判パネルだ。近年、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造に使う鉄骨、RC(鉄筋コンクリート)造に使う鉄筋に代わる構造材として注目されており、CO2排出量削減といった環境性や木目を生かしたデザイン性などから、新築のオフィスビルやマンションといった高層建築物での採用が進んでいる。
木材需要の拡大による地方創生の観点から国がCLT材の普及を支援していることもあり、今後はさらに木造高層建築物が増えていくだろう。
このCLT材も例外なく、資材高の影響を受け、調達コストがかさんでいる。また、そのコストを不動産デベロッパーなどの施主、施工を行うゼネコンのどちらがかぶるのか、綱引きが繰り広げられている。業界の序列構造からゼネコンが施主に泣かされやすい。
新会社は、デベロッパーとゼネコン、さらには建材メーカーなどが業種や序列の壁を壊して一つの勢力となり、建材調達における従来の商慣習を変えるものだ。
次ページでは、資材高とほぼ無縁になる仕組みと、中堅・地場ゼネコンなどを巻き込んだ新勢力の全貌を明らかにする。