外資大手投資ファンドは、溢れる運用マネーを投じる先を求めて国内であちこちに出没した。しかし、商業の超一等地である東京・銀座はあまり攻めなかった。特集『沈むゼネコン 踊る不動産』(全20回)の#11では、銀座ならではの不動産売買事情に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
「完全にモードチェンジ。
一斉にトーンダウンした」
外資大手投資ファンドの日本の不動産に対する投資熱が、今この瞬間、冷めかかっている。
米国系は自国経済が景気後退に入るか否かを見極めるべく、日本に限らず全世界的に大型買収を行うことに対して様子見をするようになった。
最近までイケイケどんどんで日本市場を攻めていた韓国勢は、「完全にモードチェンジ。一斉にトーンダウンした」と不動産運用を行うケネディクスの池田総司常務取締役戦略投資本部長は言う。景気後退への警戒に加えて、韓国で金利が上昇し、風向きが変わった。金融引き締めによって、リスクを伴う資産に逆風が吹く。
世界の投資熱が一気に冷めたわけではない。欧州系では、ロシアがウクライナに侵攻した問題がある中、市場に安定感のある日本は投資を継続しやすいという見方は強い。アジア系はなお、買い局面として前のめりのところも多い。
国・地域、プレーヤーによって温度差はあるものの、不動産売買で一番札を取った外資系が優先交渉権を捨てるケースが散見されるようになった。
商業の一等地である東京・銀座。この街の不動産売買に対する外資大手投資ファンドの姿勢に変化はない。もともと彼らはこの街で売買のメインプレーヤーになっていないからだ。
彼らは、溢れる運用マネーを投じる先を求めてあらゆるところに出没してきた。それなのになぜ、商業の超一等地である銀座をあまり攻めなかったのか。彼らでなければ、誰が海外マネーを銀座に持ち込むのか。