ゼネコンやインフラ企業の間で私募REIT(不動産投資信託)の参入ラッシュが起きている。この動きに本業で資産運用を行ってきた者たちは警戒心を抱く。彼らが投資家を欺くダークサイドにはまることを懸念しているのだ。特集『沈むゼネコン 踊る不動産』(全20回)の#16では、私募REIT参入ラッシュとダークサイドの実態に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
「証券会社にたきつけられ
すごい数の企業が参入準備」
ゼネコンや鉄道会社などのインフラ企業の間で、機関投資家向けの不動産投資信託である私募REITへの参入ブームが巻き起こっている。
ゼネコンでは大成建設や清水建設などが参入の準備に入り、インフラ企業では鉄道会社やエネルギー会社などが準備を進める(次ページの参入リスト参照)。
不動産開発に携わる業種、昔から不動産を保有する業種が、本業以外の収益の柱となる不動産ビジネスを育てる上で、保有した不動産の売却ルートとして私募REITに目を付けたのだ。
「仕事が欲しい証券会社にたきつけられて、すごい数の企業が参入への準備をしている」と資産運用会社の幹部。不動産開発や不動産の資産運用を本業とする者たちはブームに警戒心を抱く。
私募REITに参入されると、建設を請け負うばかりだったゼネコンが開発や売買で肩を並べてきたり、インフラ企業から保有不動産を仕入れにくくなったりする。加えて懸念するのは、彼らが投資家を欺くダークサイドにはまり、業界全体が投資家からの信用を失ったり、金融庁から目を付けられることだ。実際、そのようなことが起こっている。
次ページでは、私募REIT参入ラッシュとダークサイドの実態に迫る。