トップ5は、大手総合商社がずらり。1位は三菱商事の平均年収1678.4万円(単体従業員数5725人)、3位は伊藤忠商事で1627.8万円(同4215人)、4位は三井物産で1482.5万円(同5587人)、5位は住友商事で1356.4万円(同5240人)。三菱、三井、住友という財閥系に伊藤忠が食い込んでいる。

 ここで足元の業績を確認すると、8月初旬に出そろった総合商社の22年4~6月期決算では、資源高などを追い風に、三菱商事、三井物産、住友商事はいずれも前年同期比で最終増益、4~6月期として最高益を更新している。伊藤忠は、前年同期に一過性の利益を計上した反動で減益だったものの、資源高の好影響だけでなく、非資源事業も堅調で業績は底堅い。

2位は半導体専門商社の
マクニカホールディングス

 だが、トップ5の中で特に目を引くのは、何といっても2位のマクニカホールディングス(HD、22年8月にマクニカ・富士エレホールディングスから社名変更)だ。神奈川県横浜市に本社を構える独立系の半導体専門商社で、この分野では国内トップ級。半導体需要の高まりで業績は絶好調かつセキュリティー製品を強化していることもあり、23年3月期は3期連続で過去最高益を見込んでいる。

 平均年収は1633.8万円で、三菱商事や伊藤忠商事と並ぶ1600万円台。ただ、注意したいのは、同社が持ち株会社であり、単体従業員数が25人と少ない点だ。ちなみに、マクニカHDのグループ全体の従業員数は3513人。ランキングは、経営の中枢をつかさどる少数精鋭部隊である持ち株会社社員の平均年収を算出しているため、グループ全体の水準よりも高くなっている可能性が高い。

 また、同社のデータをさらにひも解くと、平均年収が前期に比べて60.1%増えている一方、従業員数は同77.9%減となっている。これは、国内グループ組織の見直しにより、持ち株会社に兼務出向していた管理部門の実務者を子会社に帰任させたことで、平均年収の開示対象となる従業員数がこれまで以上に絞り込まれていることを意味する。こうした事情も考慮してランキングを見る必要があるだろう。

 さて、ランキングのトップ5から、財閥系の大手総合商社はイメージだけでなく、実際に年収が高いことがわかったのではないだろうか。

 総合商社は“大手7社”で語られることが多いが、トップ5には顔を出さなかった大手7社のうちの丸紅、双日、豊田通商はいったい何位なのだろうか。また、専門商社の上位はどこか?

 次ページからは、6位以下を含めた全246社の年収ランキングを明らかにしていく。