ファンコミュニティで共有される
こだわりと経験値

 面白く感じたのは、この一連のツイートが、同じジャニーズファンたちからは「これは本当にそうだよね…」「結局売り上げに繋がらないと意味がない」「共感しかない!」と好意的に受け止められ、共感の嵐を呼んでいたことだ。なんで商品を買う側がそこまでしなければいけないのかといった反発は見られない。

 背景にはおそらく、「自分たちが頑張って推さなければ」「効果的な“推し方”をしなければ」という使命感がある。

 一般の人からすると、ジャニーズといえば誰もが知っている国民的人気アイドルであり、特定のファンだけが応援しなくても安泰だろう……というイメージがある。

 しかし実際はそうではなく、デビューしてもヒット作に恵まれなかったり、冠番組やドラマ・映画主演を勝ち取れなかったりするメンバーもいる。かつてのSMAPやKinKi Kidsのような成功例は、今の時代では難しいかもしれないという危機感もある。

 自分の「推し」が大成できるかどうかが、ファンの1アクションにかかっているかもしれないという使命感は、ジャニーズでも地下アイドルでもそう変わらないのかもしれない。

 まとめに寄せられた共感の声は、どうしたらもっとメジャーになれるか(推しを安心させられるか)に日々苦慮するオタたちの心理が反映されている。

 このような背景がわからなければ、「ジャニーズを起用した企業の人がファンに過剰な注文をつけている」と思われてしまうのだろう。

 以前、ある女性アイドルグループが「炎上」しかけた際に、そのグループのファンが、ツイッター上で「このアイドルは少し疲れていて休養を繰り返しているので、どうか叩かないで」と批判的なユーザーにリプを飛ばしていたのが印象的だった。

 というのも、そのアイドルが休養を繰り返しているのは何度も報道されており、ファンならずともそれなりに周知されている事実だったからだ(少なくとも、アイドルに興味のない筆者でもそのニュースを何度も目にしていた)。ファンからすると「ファン以外への認知はまだ低い」と評価し、だからこそ応援しているようだった。

 ファンたちのコミュニティの中では独特の認知があり、コミュニティの外からすると謎だったり、興味深く感じられたりするということはよくある。