20代で管理職の年収を上回るケースもあった大和証券。ところが、最大200万円が支給された社長賞は実質廃止に。成果次第で野村證券を上回るといわれた高給が今後は揺らいでしまうのか。特集『高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇』(全18回)の#2では、賞与額を左右する新たな人事考課と、成果主義に隠れる年功序列の仕組みを解剖する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
野村を上回る大和の成果主義
超高年収を実現した社長賞とは
野村證券では、成果に基づき報酬を支払う「ペイ・フォー・パフォーマンス」という言葉が社内で浸透している。しかし、野村證券よりもはるかにペイ・フォー・パフォーマンスを体現している証券会社がある。大和証券だ。
大和証券の成果主義はすさまじい。ある大和証券の社員によれば、金融緩和政策により相場が活況を呈した2013~18年の間は、トップセールスの場合、「相場次第で3年目の年収が1500万円近くに達した」というし、「20代で2000万円を突破する社員もいた」という破格の待遇だった。
若手社員でも夢のような高年収を可能にした原動力は「社長賞」。収益分野や投資信託分野など各分野の上位者を表彰して給与に反映させる制度のことだ。
「社長賞は半年ごとにあり、各分野の上位者を、200万円、100万円、50万円……、のように区切りを付けて表彰していました。例えば、1人の社員が3分野で200万円、1分野で100万円の基準を満たせば、たった半年で700万円も支給されます」(前出の社員)。相場が悪い時でも、この制度があったおかげで、営業成績が良ければ青天井に収入が増えたのだ。
ところがその社長賞は、表彰自体は残っているものの、賞与には反映されなくなり、なんと3年ほど前に実質的に廃止されてしまったのだ。その結果、別の社員は「主任で考課がトップの社員でも、半年の賞与は150万円前後しかもらえていない」と漏らす。年間の賞与額にして約300万円。十分高年収といえるが、それでも社長賞廃止前の時期と比較すると見劣りしてしまう。
むろん、大和証券としても賞与の減額を主眼として社長賞をなくしたわけではない。むしろ、今も成果主義は存在する。背景には、複雑な出世の仕組みと待遇など諸事情が絡んでいるのだ。
「20代で2000万円」は今後もあり得るのか?次ページでは、大和証券の人事評価の詳細な仕組み、出世のメカニズムを具体的な役職と金額、内部からの生の声と共にお届けしよう。