電気機器セクターにおいて、平均年収でソニーグループや日立製作所を上回るのが半導体製造装置のレーザーテックと東京エレクトロンだ。2社とも5年で平均年収を300万円以上も増加させており、上場企業3200社(持ち株会社を除く)の平均年収ランキングでもレーザーテックは11位、東京エレクトロンは14位に登場する。伝統的にメーカーの給料が低い日本で圧倒的な高年収を実現できたのはなぜか。特集『高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇』(全18回)の#9では、2社のビジネスモデルや報酬の仕組みの神髄を実額とともに具体的に解剖した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
業績も株価も右肩上がりで
年収は5年で300万円超増加
「5年で平均年収が300万円近くアップ」「年収の水準は全上場企業の上位0.5%」――。
わが世の春を謳歌する半導体製造装置セクターの中でも、特に注目されているのが直近10年で営業利益を10倍以上に拡大した東京エレクトロンとレーザーテックだ。
2社共に株式市場の注目度も高い。2017年初から日経平均株価は32%上昇(22年9月末時点)しているが、同期間に東京エレクトロンの株価は約3.2倍、レーザーテックに至っては26.4倍になっている。
株価や業績だけではない。平均年収も直近5年で大きく増加させている。
東京商工リサーチが作成した上場企業約3200社(持ち株会社を除く)の21年度の平均年収ランキングでは、レーザーテックが1379万円(5期前比351万円増)で11位、東京エレクトロンが1285万円(5期前比で336万円増)で14位。5期前と比較した平均年収増加額では上場企業の1位、2位となっている。
すでにレーザーテックは22年6月期の平均年収も公開したが、21年6月期からさらに69万円増加させた1448万円となった。これは21年度の順位では10位に相当する。
従来、日本において平均年収が高い業種といえば、総合商社やコンサル、金融、財閥系不動産などが定番だった。キーエンスやファナックなど例外はあるものの、「年収」という軸ではメーカーの地位は必ずしも高くない。実際、日本を代表するメーカーであるソニーグループ(1085万円)やパナソニックホールディングス(759万円)でも総合商社と比較すると年収面では分が悪い。
伝統的にメーカーの給料が低い日本で、レーザーテックと東京エレクトロンが圧倒的な高年収を実現できたのはなぜか。次ページでは2社のビジネスモデルの神髄をトップアナリストが分析。さらに実際に経営幹部が登場し、待遇の仕組みと報酬を具体的に解説する。
経営幹部からは「ボーナスは10カ月以上(標準評価)」といった驚きの声が。しかし、その裏には徹底的な実力主義があった。