高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇#3Photo:lukbar/gettyimages

創業30年以内のメガベンチャーの平均年収ランキングを大公開。日本にもようやくベンチャー企業が育ちつつあるが、成長を継続できるかどうかは「人材獲得」が重要なポイントになる。業績に加えて社員の待遇もいい企業はどこか?特集『高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇』(全18回)の#3では、今後も成長が期待でき、転職先としても投資先としても有望なベンチャー企業を探した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

大企業にも平均年収で負けない
メガベンチャーが台頭しつつある

 年初から調整が続く米国株と比較すると、底堅い動きを見せている日本株。だが、急激に進行する円安の影響で、ドル建てで見ると日本株の方が大きく劣後している。

 9月26日時点の東京証券取引所に上場する約3800社(プライム、スタンダード、グロースの3市場合計)の時価総額の合計は約703兆円。一方、米国に上場するアップル、マイクロソフト、グーグルの3社の時価総額合計は790兆円(1ドル=144円で計算)で東証を上回る。米国の巨大テック企業3社に、日本が誇る3800社が束になってかかっても勝てないのだ。

 1989(平成元)年、バブル絶頂時の世界時価総額ランキングでは上位50社中、日本企業は32社。トップ5はNTT(日本電信電話)と日本の銀行で独占していたが、現在は上位50社中、日本企業はトヨタ自動車のみである。

 日本企業の存在感が低下した要因の一つに、企業の新陳代謝が進まなかったことがある。米国では、グーグルやアマゾン・ドット・コムは90年以降、フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)やテスラは2000年代に創業している。

 これらの企業が圧倒的成長を成し遂げたのは、技術力やビジネスモデルだけではない。デジタル人材を中心に、優秀で成長意欲の高い社員の採用に成功したことも大きな要因だ。

 とはいえ、実は足元ではベンチャーキャピタル(VC)による資金提供が潤沢になるなど、日本にも変化が起きつつある。エムスリーやメルカリ、サイバーエージェントなど難関大学の学生の就職先として人気上昇中の企業もある。年収についても大企業に負けない水準の企業も増えている。

 裏を返せば、最新の年収水準や変化率から厳選すれば、勢いのある企業が浮かび上がってくるというわけだ。そこで次ページでは、91年以降に創業した企業で時価総額が500億円以上のメガベンチャーをセレクトして、直近の平均年収でランキング。同時に、5期前と比較した年収増減率を公開する。

 つまり、高成長かつ高収入の勝ち組ベンチャーのランキングであり、80社が並ぶ結果となった。楽天グループ、サイバーエージェント、メルカリなどよく知られたIT系の企業にとどまらず、コンサルやメディカル系企業などもランクインしている。

 10%以上年収が増えた企業は80社のうち32社。停滞する日本経済の中で、この数字は極めて高いといっていいだろう。5年間で平均年収を93%も増加させた企業もあるし、上位10社が平均年収1000万円を超えている。

 待遇はもちろん、成長企業で働くのはビジネスパーソンにとっても充実するし魅力的だ。80社は年収、業績共に拡大期にある上、人材にきちんと投資している会社なわけだから、今後も成長が期待できる。また、ランキングは不安定な相場の中、長期で有望なベンチャー企業を安く買うための指標にもなる。転職先としても投資先としても有望なベンチャー企業を発掘してほしい。