長年にわたる低金利環境に苦しんできた銀行業界。ところが、三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループは依然高待遇が続く。両社の平均年収は1000万円以上で、福利厚生も手厚い。特集『高年収&高収益 勝ち組企業大解剖!儲けの秘密と本当の待遇』(全18回)の#14では、高待遇の理由をグローバルの商業銀行との比較でひもとき、さらには今後、円安や金利高が純利益に与える影響もアナリストと共に分析する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
20年以上続く超低金利環境でも
メガバンクが年収2000万円超の理由
銀行業界は、長年にわたって国内の低金利環境に苦闘してきた。
日本銀行がゼロ金利政策を実施したのは1999年。以来、金利が上昇する局面はほとんどないまま、17年たった先にやって来たのは凍り付くようなマイナス金利政策だった。同じ年には、YCC(イールドカーブ・コントロール)によって長期金利には上昇余地がなくなった。銀行セクターにとって、泣き面に蜂を幾度も経験した20年だったのだ。
ところが、業界をリードする三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)の社員は、今もなお高待遇だ。
例えば、三井住友銀行の行員は最短35歳前後でグループ長に昇格するが、年収は1200万円ほどになるという。同行の出世と待遇は次ページで詳述するが、中でもMG層と呼ばれる職位への昇格試験に合格すれば、37歳で年収は1400万円前後に到達する。さらに、最短で部長に昇格すると、45歳前後で年収は2000万円を突破するのだ。役職が上がれば、高年収が約束されている。
外資系のコンサルティング企業などに比べたら見劣りするかもしれないが、世間一般からすれば十分な高給取りだ。
かつてに比べれば、日本経済におけるメガバンクの影響力は低下し、低金利の逆境にあった。では、なぜこれほどの高待遇を実現できるのか?
その答えは三菱UFJFG、三井住友FGとグローバルの商業銀行を比較すると見えてくる。そこに高待遇を実現できるビジネスモデルの秘密があるのだ。
しかも、今後起こる可能性が高い三つの環境変化が日本のメガバンクにとって強い追い風になると専門家はみている。となると、高待遇を維持するどころか、さらなる上昇もあり得るのか。アナリストによる分析と共に明らかにする。