金融業界の5年後の序列を四つのサブセクター(メガ銀・地銀・証券・生損保)別に徹底予測!生損保・メガ銀が比較的好調な一方、地銀や証券は厳しい見通しにさらされる。円安、金利高は金融業界にどう作用するのか。特集『円安・金利高・インフレで明暗くっきり! 株価・給料・再編 5年後の業界地図』(全24回)の#7では、業界内の垣根をかき乱すプレーヤーも含めた、主要金融機関12社の未来図を定量データで徹底検証する。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
保険と銀行・証券で明暗くっきり
円安、金利高で勢力図は変わるか?
構造不況といわれて久しい金融業界。ただし、その内実は、銀行(メガ銀行・地方銀行)・証券・保険(生命保険・損害保険)の各業種によって異なる。
それは、「市場の評価」という点でもはっきりしている。下図は、2000年以降の業種別株価指数とTOPIX(東証株価指数)の比較で、いわば市場の期待度を示したものだ。
いきなり目に付くのは、保険が約15年ぶりの高値圏だということ。市場からの支持を得ている要因は、保険の中でも損保にある。3メガ損保の22年3月期決算は、3社とも過去最高益なのだ。
一方、銀行・証券の株価はさえない。銀行は低金利による利ざやの縮小、証券は個人投資家の高齢化や手数料競争の激化という難題から脱却できていない。リーマンショック前まではTOPIXと連動しているが、その後は停滞。投資家から長らく見放されている。
ところが、である。第一人者たちはそろってトレンドの大転換を口にする。理由は足元の円安と、今後進むとみられる金利高だ。例えば、マネックス証券専門役員チーフ・アナリストの大槻奈那氏は、国内で金利高が進むことについて「金融業界全体では、ノンバンクを除いてプラスの影響」と明かす。低金利という足かせが解かれれば、業界全体で大きな変革が起きることは間違いないというわけだ。
次ページでは、今後5年の金融業界の未来図を、メガ銀・地銀・証券・生損保の四つのサブセクターで紹介。気になる年収比較や株価データと共に紹介する。
それを見ると、メガ銀・地銀・証券・生損保のそれぞれで、代表的な企業の明暗がくっきりと判明。もはや投資対象ですらないと、トップアナリストに断じられるセクターも。さらに“破壊者”であるSBIホールディングス(HD)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)の急接近は業界をどう激変させるのか。次の5年も序列、待遇共に「安泰」からは程遠い業界となりそうだ。