同期から役員が出れば銀行本体から離れ、グループ会社や取引先の企業に出向する――。これが、メガバンクの50代前半の行員に対するイメージだろう。だが、意外に3メガバンクの置かれた状況によって、それぞれ事情が異なってきているようだ。特集『中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀』(全17回)の#14では、3メガバンクに加え、日本銀行と千葉銀行の50代の待遇について詳述する。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
50歳を過ぎたら片道切符
銀行のシニアは今?
片道切符――。銀行員が融資先など取引先に出向するといえば、こういった印象を持つ人が多いだろう。実際、同時に入行した同期の中から執行役員が誕生するのが50歳を過ぎたあたり。出世競争に敗れた銀行員たちが銀行を去り、グループ会社や民間企業に出向していくことから、悲哀の象徴として語られることが多い。
こういった出向は規定に明文化されているわけではないが、暗黙のルールとして行われてきた。30代での出向は銀行本体への復帰が約束されているが、40代後半からの出向は、二度と銀行に戻ることがない片道切符である。霞が関のキャリア官僚は、年次が上がって同期が出世するたびに周りは徐々に退官していくが、それと同じような慣習といえる。
霞が関には今もこうした慣習が残るが、銀行はどうか。多くの金融機関が年次に縛られているのに変わりはないが、出向する慣習については銀行によって違いが出てきたようだ。
その理由の一つに、歪な年齢構成がある。この話で避けては通れないのが、バブル入社組の存在だ。バブル入社といえば、1988~92年に大学を卒業して社会に出た世代を指す。詳細は次ページ以降に譲るが、大手銀行はバブル期に新卒者を大量に採用、90年には現在の3メガバンクで約4000人弱の大卒総合職を採用している。
これらバブル入社組はすでに50歳を超えているが、人数が多いバブル入社組に対し、バブル崩壊後に訪れた就職氷河期世代の人員が極端に少ない。その後、合併を繰り返し、公的資金の注入などによるリストラもあって、メガバンクの人員構成はかなり変わってきている。故に、同じメガバンクであっても、50代の処遇にはかなりの違いがある。
三菱UFJ銀行に三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクに加え、あまり表に出ることがない日本銀行、そして地方銀行ではトップクラスの規模と収益力を誇る千葉銀行では、いったいシニアはどういった処遇になっているのか。年齢や役職によって年収はどれくらい減るかに加え、出向先や転職先の事情など、全て具体的な生の声と共に次ページ以降で明らかにしていこう。