会計士・税理士・社労士 経済3士業の豹変#4Photo by Yoshihisa Wada

四大監査法人の一角、あらたを擁するPwCジャパンが今注力しているのが、経営戦略を提示する戦略コンサルティングだ。グループ代表を務める木村浩一郎氏は、その戦略コンサルが「四大で一番強い」と豪語する。特集『会計士・税理士・社労士 経済3士業の豹変』(全19回)の#4では、会計監査だけではなく戦略コンサルの領域をのみ込みながら変貌するPwCジャパンの狙いについて、木村氏が明かす。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

戦略からトランスフォーメーションへ
一気通貫で顧客に伴走する新たなビジネス

――PwCジャパンが今、最も注力していることは何でしょうか。

 会計事務所はこれまで、財務報告などレポーティングから入るのがクライアントへの典型的なアプローチでした。

 もちろん、それは非常に重要ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)を進める企業に対し、われわれは戦略から入って変革をお手伝いしていくことに力を入れています。

 いわゆる監査保証業務だけではなく、例えば企業が脱炭素をどう成長に結び付けていくか、事業の選択と集中をどう進めていくべきか、そういったことにPwCジャパン全体で関わっていく。

――それは他の四大会計事務所も力を入れているところかと思いますが、PwCジャパンの強みはどこにあるのでしょうか。

 少なくとも会計事務所系のビッグ4の中では一番強いと思います。むしろマッキンゼー(・アンド・カンパニージャパン)といった戦略コンサルティングファームと競い合うケースの方が多い。

 私たちは「The New Equation」という戦略を掲げていますが、これはクライアントや社会のニーズが何かということを検討し、信頼の構築と持続的な成長の実現という二つの大きなニーズに対する支援を柱に据えたものです。戦略からトランスフォーメーション、最初から最後まで伴走するというのが私たちのビジネスモデルといえます。

PwCジャパンはグループ全体に占める監査業務収入が2割弱にすぎず、四大会計事務所の中で最も低い。むしろそれを強みとし、2009年の旧べリングポイント買収以来、非監査のコンサルティング事業を武器に成長を遂げてきた。

会計監査から戦略コンサルティングへと領域を広げるPwCジャパンは、いったい何を目指しているのか。非監査業務の拡大は、監査品質の向上と両立し得るのか。次ページから、木村氏がその問いに対する答えを明かす。