監査法人にとって多額の報酬額を支払ってくれる「お得意様」の企業はどこか――。ダイヤモンド編集部は今回、監査報酬額が高い上場企業100社を調査した。特集『激動!会計士』(全12回)の#2では、ランキングから浮かび上がった、財閥系などの大企業と四大監査法人の濃密な関係をひもとく。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
あずさは住友系、トーマツは三菱系に強み
財閥グループと監査法人の知られざる関係
「時間×単価」――。企業が監査法人に支払う監査報酬額を把握する上で、知っておくべき公式はこの一つだけだ。時間は請求書や在庫の確認など、財務諸表が適切に作成されたかどうかを判断するためにかかった工数であり、単価は監査に関わった人員の1時間当たりの費用を示している。
実は、監査報酬額の算出方法は大きく2種類ある。それが時間と単価を掛け合わせる「タイムチャージ方式」と、固定費と変動費を組み合わせる「基本報酬+執務報酬方式」の二つだが、四大監査法人を筆頭に、前者の方式を採用している監査法人が過半を占めているのが現状だ。
監査報酬額はいわゆる売上高であり、報酬額が高いからといって必ずしも利益率の高さにつながるわけではない。だが、監査法人にとって重要顧客であるのは紛れもない事実だ。四大監査法人の幹部は「大企業の内部に入り込むことで知見を得られる側面もある」と明かす。
では数ある企業の中で、それぞれの監査法人にとっての“お得意様”は一体どこか。
それを調べるために、ダイヤモンド編集部は2019年9月期~20年8月期決算を対象として、東京証券取引所に上場している企業のうち監査報酬額が高い順に100社を抽出し、監査を請け負っている監査法人の名前と併せてランキングを作成した。監査報酬額は、有価証券報告書を提出している会社とその連結子会社の支払額の合計値としている。
どのような企業の監査報酬額が高いのか。早速次のページから見ていこう。