GAFAが仕掛ける空中×地上のハイブリッド戦
地上に強い日本企業は準備せよ

白坂先生

白坂 CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)もそうですけれど、やはりベンチャーには当然、当たり外れがあり、リスクもあります。でもその一方で、当たったとき時の成長性はとてつもなく大きく、投資効率はいい。

 たとえば、私が関わっているSynspectiveというベンチャーは、もともとは国の研究開発プロジェクトで研究した技術がきっかけだったんです。国は技術開発のために20億円を投資しましたが、その後シリーズB(事業が軌道に乗り始めた段階の投資ラウンド)までで民間から約200億円の資金調達ができました。その後、事業化していくわけです。

 初めに国が投資してくださったことはもちろんありがたいことですが、シリーズA(成長段階の投資ラウンド)ではなかなか普通の民間企業は投資してくれない。先のことなのでリスクがある一方で、長期で見たら大きな可能性がある、そういうところに「張る」ことができるような意思決定を企業ができれば、日本ベースでもっとイノベーションを生み出すことができると思うんですよね。

 GAFAなどのプラットフォーマーは、サイバーからフィジカル側へやって来ている。彼らは、これからはフィジカル側が勝負どころだということが、やはりわかっているんですね。サイバーからフィジカルへと主戦場が移行するのがわかっていて、そこでも覇権を取ろうとしている。すでにフィジカルの技術を持っている日本がそこを攻めなくてどうするのかと。

入山 GAFAは早い段階から「張って」いる。まさに、リスペクトする冨山和彦さん(経営コンサルタント/IGPI代表取締役CEO)が、いつもこうおっしゃっています。GAFAは空中戦で勝った。サイバーとフィジカルが組み合わされた時代になれば、現場のものづくりとか、サービス、おもてなしのような、地上戦の力が、実は非常に発揮されると。

 日本は地上戦が非常に強いし、それを活かして挑むしかない。問題は、次の戦いは「地上戦と空中戦をつなげる」必要があることです。GAFAは今、地上戦が弱いので、必死になってやっていて、しかもそう簡単なことではありません。だからグーグルも一生懸命、車をつくっているわけです。ただ、いずれ必ず空中から攻撃を仕掛けてくる。日本企業はその前に対応しておかなければなりません。

近日公開の対談第5回もぜひご覧ください。