歯磨き後「口の中がスッキリするまで」うがいをしていませんか?

 歯磨きが終わったら口の中の歯磨き剤を出すためにうがいをしますが、実はこのやり方も間違っている人が多いのです。9割以上の歯磨き剤にはフッ化ナトリウムなどのフッ化物が含まれ、その主成分であるフッ素は酸から歯を溶けにくくして虫歯予防になります。そのため、口の中がスッキリするまで多くの水で何度もすすいでしまうと、フッ素成分が洗い流され、虫歯予防効果が期待できなくなります。フッ素を口の中にとどめておくには、すすぐ水の量は大さじ1杯(15ml)、10秒ほど1回だけすすげば十分なのです。また歯磨き後はフッ素が歯に浸透するために、1~2時間は飲食を控えた方が良いです。

 ランチのときは外出中や職場でも、お口と全身の健康のためにうがいだけはぜひとも行ってください。口の中のバイ菌のエサは食べ物や飲み物に含まれている養分で、これを目当てにバイ菌が集まります。数時間でバイ菌が塊を作り始め、24時間が経過すると、目に見える「歯垢(プラーク)」となってたまります。歯垢の細菌密度は非常に高く、1g当たりの細菌数は100億~1000億で、これは糞便(1000億/g)とほぼ同数です。歯垢は歯磨きで落とせますが、ほとんどの人が完全に歯垢を落とせる歯磨きができていません。多くの人は歯磨きのクセがあり、同じところが磨き残しになるため、磨けていないところは24時間365日放置状態に。

 数日で歯垢は歯石になり、歯石になると歯磨きでは取り除けず、歯科医院で取ってもらうしかありません。歯石の下には歯ブラシが届かず、歯石の表面もザラザラしていて、歯石のある状態はバイ菌と養分の格好のベッドタウンとなり、ますます歯垢の生産が加速します。

 しかし、バイ菌もエサがなければ歯垢が作れません。バイ菌が歯を溶かすと虫歯になり、歯の周りの組織に炎症を起こすと歯周病になりますが、それらのバイ菌が歯茎の毛細血管から忍び込み全身を駆け巡ると、糖尿病、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、認知症、リウマチなどの数多くの病気の発症・進行を助長します。

 そんな負の連鎖「ネガティブ・スパイラル」から口の中を守ってくれるのも「うがい」なのです。ランチの後に歯磨きができないとしても、うがいをしてバイ菌の養分となる食べカスを口の中から洗い流しましょう。